食育はよい口の機能から⑥

態癖「片噛み」「口呼吸」「舌癖」

〜舌癖〜

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舌は正常な状態では、唾を飲み込んだ時、舌の先は上アゴの前歯の後ろで歯に当たらない位置で口蓋に接し、安静時もこの位置にあります。舌が前接触していたり、歯と歯の間に出たりするのは異常で、舌癖と呼びます。

他人から舌の位置を確認することは難しいのですが、ものを飲み込む時の顔の動きを見ていると容易にわかります。普通は唾などを飲み込む際、顔の筋肉はほとんど動きませんが、舌癖のある人では、口の周りの筋肉が動いたり、頭が動いたりすることがあります。食べる時にペチャクチャ音を立てたり、よく噛まずに飲み込んだりするのも舌癖をもつ人の特徴です。

また、「ナ行」「夕行」を発音してもらうと、歯と歯の間から舌が出るのが確認できます。特に「ノ」と「ト」の発音の時に顕著に見られます。さらに、舌癖保有者は“舌打ち”がうまくできません。舌打ちをしてもらうことで本人が気付くことができます。1日に数百~1000回以上唾液を飲み込み、そのたびに舌の刺激がアゴに加わります。これによってアゴは成長するきっかけをもちますが、適切な舌の刺激がないとアゴ、特に上アゴの側方への成長が悪くなり、歯列は狭搾してしまいます。上アゴが狭搾すると歯が凸凹に並んだり、上下のアゴの幅が合わないため下アゴが側方に偏位する「交叉咬合」になってしまったりと、歯列咬合に異常が見られます。

舌が上の前歯を押すと出っ歯、下の前歯を押すと受け口、上下前歯の間くらいだと開咬の誘因となります。舌の運動が正確に動くことにより、食べ物を歯の上に運び、よく噛めるようになりますし、舌が食塊を口蓋に押しつけてに移動させることにより下がうまくできるようになります。舌の機能が不完全だと、あまり噛まずに丸呑みしてしまったり(早食べ)、いつまでも飲み込まないでだらだら食べになります。また、歯列が狭いと舌が喉のほうに押し込まれて気道が狭くなるため、口呼吸になりやすくなります。正常な呼吸には、舌がゆったり収まる、しっかりしたアゴの大きさが必要なのです。アゴの発育には舌の正しい機能が不可欠です。